ネコと暮らす

  のど元までこみ上げている憂いがある。「はぁ~。」とため息をつくと、ネコと視線が合った。ペット様の寝床の丸く膨らんだ周りに首をもたげて、私の様子を見ている。

 じいっと見ているとネコの視線が泳いだ。そして何かを考えている様に思えた。私が目をしばたたいて見せると、ネコも同じように目を細める。心が通い合ったように思えた。しかし、次の瞬間ネコはサッと寝床を飛び出して、餌場へ向かう。

 ああ、やっぱりネコだわ。

 私の手足は

 引っかかれた傷が、絶える事がない。

 餌を食べたと思ったら、途端に毛玉と一緒に嘔吐する。ああ~そのシーツは、洗い立てなのに‥でもネコだから仕方ないか。そう思えばすぐにあきらめが着く。

 夜は、私が横になると、すぐに察知してすり寄ってくる。ゴロゴロ鳴る寝息が電動歯磨きの様に背中に伝わる。 

 安堵した私が向きを替えて寝落ちしそうになると、無視されていると思ったネコは、その手で私の顔を叩く。ああ、眠くて仕方ないのに、、しかし、可愛いから許すしかない。